交通誘導をしているとき、うれしい瞬間があります
- sinsirokeibi
- 10月28日
- 読了時間: 3分

私たちは交通誘導の仕事をしています。
工事現場や駐車場の出入り口などで、車や歩行者の方を安全に通すのが日々の仕事です。
雨の日も、暑い日も、風の強い日もありますが、無事に一日を終えられると、それだけでほっとします。
そんな中でよく感じるのが、「皆さん、どうすればいいのか少し迷っているんだろうな」ということです。
「黙って通るのもなんだか悪い気がする」
「でも、お辞儀をするほどでもないし……」
そんなふうに思っている方、実はけっこう多いのではないでしょうか。
こちらから見ていても、そういう“迷い”が伝わってくることがあります。
目が合って、ちょっと戸惑いながら通り過ぎていく
――そんな姿を見ると、なんだかこちらも微笑ましい気持ちになります。
実は、それだけでもうれしいんです。
見てくれている、気にかけてくれている――私たちはそれだけで十分です。
でも、もし「ありがとう」という思いをちょっとだけ形にしたいと思ったら、軽く手をあげてくれるだけで、すごくありがたいです。
手をひらっと上げる、あるいは車の中なら指先を少し動かすくらいでも大丈夫です。
その一瞬で、「あ、気づいてくれたな」と伝わります。
それだけで、心がふっと軽くなるんです。
ときどき、お辞儀をしてくださる方もいます。
そのお気持ちは本当にありがたいです。
ただ、ひとつだけご理解いただけたらうれしいことがあります。
お辞儀をされると、つい私たちもお辞儀を返したくなってしまうのですが、その瞬間に視線が下がってしまい、周りの安全確認が一瞬だけ途切れることがあります。
ほんの一瞬でも、それが危険につながることもあります。
もちろんこれは私たちの問題なので、私たち自身が気をつければ済む話です。
お辞儀をしても、何も反応を示さない警備員が多いかもしれませんが、それは安全のために、常に目線を走行する車から切らさないようにしているからなのです。
ですので、「どうしようかな」と迷ったときは、無理に何かをしようとしなくても大丈夫です。
安全に通っていただけるだけで、私たちはうれしいです。
それでもお気持ちを伝えてくださる場合は、軽く片手をあげてみてください。
私たちも、目線を外さずに小さく会釈を返します。
お互いに危険を避けながら、ほんの一瞬だけ心が通い合う。
その瞬間が、現場で働く私たちにとって小さなご褒美のような時間です。
交通誘導の仕事は、目立たないけれど、とても大切な役割です。
そして、通り過ぎていく皆さんの小さな気づかいが、私たちを支えてくれています。
軽く手をあげる――その一瞬で、現場の空気が少しあたたかくなります。
今日もそんな瞬間があるといいな、と思いながら、私たちは旗を振っています。



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