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その常識、実は間違い?本当に役立つ災害対策の豆知識をプロが解説

  • sinsirokeibi
  • 5 日前
  • 読了時間: 12分

地震が来たら机の下へ、は本当に安全?良かれと思ってやっているその災害対策、実は危険かもしれません。この記事では、防災のプロが常識のウソ・ホントを徹底解説。今日から使える備蓄や避難生活の役立つ豆知識で、あなたと家族の命を守る正しい知識を身につけましょう。


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1. 災害対策の基本 これは本当に正しい?常識のウソ・ホント

防災訓練やメディアを通じて「常識」として広まっている災害対策。しかし、その中には状況によっては危険を招く可能性のあるものや、より適切な行動があるものも含まれています。ここでは、よく知られる災害対策の基本をプロの視点で見直し、本当に役立つ知識を解説します。


1.1 「地震が来たら机の下へ」はいつでも正解か

地震発生時の行動として最も有名な「まず机の下へ」。これは落下物から頭部を守るための非常に有効な行動ですが、いつでも・どこでも正解とは限りません。建物の状況や周囲の環境によって、とるべき行動は変わります。



状況別の推奨行動と注意点

状況

推奨される行動

理由と注意点

比較的新しい鉄筋コンクリート造の建物(オフィス、学校、マンションなど)

机やテーブルの下に隠れる

建物の倒壊リスクが低いため、照明器具や天井材などの落下物から身を守ることを最優先します。

耐震性の低い古い木造家屋

柱が多い部屋や倒れてくる家具のない場所に移動する

建物自体が倒壊する危険性があります。机ごと圧壊するリスクを避け、少しでも生存空間が確保できそうな場所へ移動します。

屋外(ビル街や住宅地)

カバンなどで頭を保護し、落下物(窓ガラス、看板など)から離れる

周囲の建物から物が落ちてくる危険性が非常に高いです。壁際から離れ、できるだけ広い場所を探します。

屋外(公園など広い場所)

その場で姿勢を低くし、揺れが収まるのを待つ

周囲に倒壊物や落下物がないため、その場が最も安全です。慌てて移動する必要はありません。

大切なのは、今いる場所の危険性を瞬時に判断し、最も安全な行動を選択することです。日頃から自宅や職場の状況を確認しておくことが、いざという時の冷静な判断につながります。


1.2 「車での避難が最も安全」という思い込みの危険性

「頑丈な車内にいれば安全」「素早く遠くへ逃げられる」と考え、災害時に車で避難しようとする方は少なくありません。しかし、これは大規模災害時において非常に危険な「思い込み」です。

多くの人が一斉に車で避難を始めると、道路は瞬く間に大渋滞に陥ります。これにより、以下のような深刻な事態を引き起こす可能性があります。

  • 避難の遅れ:渋滞で身動きが取れなくなり、津波や土砂災害、火災など切迫した危険から逃げ遅れるリスクが格段に高まります。

  • 緊急車両の妨げ:消防車や救急車、パトカーなどの緊急車両が現場にたどり着けず、救助活動や消火活動に致命的な遅れが生じます。

  • 道路の寸断:地震による道路の亀裂や陥没、大雨による冠水、土砂崩れなどで立ち往生し、車内に閉じ込められる危険性もあります。

災害時の避難は、「原則徒歩」と心得ましょう。車での避難は、高齢者や障がいのある方の移動など、やむを得ない場合に限られます。事前にハザードマップで避難経路と避難場所を確認し、自分の足で歩いてみることが重要です。


1.3 「ブレーカーを落とす」正しいタイミングと手順

地震後の火災で最も多い原因の一つが「通電火災」です。これは、停電が復旧した際に、倒れた暖房器具や損傷した電気コードから発火する現象です。これを防ぐためにブレーカーを落とすことは非常に重要ですが、そのタイミングが肝心です。

ブレーカーを落とす最適なタイミングは、「家から避難する直前」です。揺れている最中にブレーカーに近づくのは、物が倒れてきたり、足元が不安定だったりするため危険です。まずは身の安全を確保することを最優先してください。

揺れが収まり、家を離れて避難所へ向かう際に、以下の手順でブレーカーを落としましょう。

  1. 分電盤の場所を確認する。

  2. 漏電ブレーカー、安全ブレーカー(小さいスイッチ)をすべて「切」にする。

  3. 最後にアンペアブレーカー(一番大きいスイッチ)を「切」にする。

ただし、夜間に停電した場合、ブレーカーを落とすと家の中が真っ暗になります。懐中電灯などの明かりを確保してから、落ち着いて行動するようにしましょう。また、近年は大きな揺れを感知すると自動的に電気を遮断する「感震ブレーカー」の設置も有効な対策として推奨されています。


2. 今日から使える 災害対策お役立ち豆知識リスト

災害はいつ起こるかわかりません。しかし、日頃から正しい知識を身につけておけば、いざという時に自分や大切な家族の命を守る行動につながります。ここでは、今日からすぐに準備できる、実践的な災害対策の豆知識をリスト形式でご紹介します。


2.1 備蓄に関する豆知識

非常食の備蓄は基本ですが、ただ量を揃えるだけでなく「質」にも目を向けることが重要です。特に配慮が必要なご家族がいる場合は、専用の備えが欠かせません。


2.1.1 アレルギー対応食や液体ミルクの備え

食物アレルギーをお持ちのご家族がいる場合、避難所で配られる炊き出しなどが食べられないケースも想定されます。普段から食べ慣れているアレルギー対応のレトルト食品や缶詰などを、最低でも3日分、できれば1週間分は備蓄しておきましょう。また、乳児がいるご家庭では、停電や断水でお湯が使えない状況も考えられます。お湯で溶かす必要のない「液体ミルク」と、消毒不要の「使い捨て哺乳瓶」をセットで用意しておくと、赤ちゃんの命を守る大きな助けになります。


2.1.2 ペットのための防災グッズと備蓄

ペットも大切な家族の一員です。災害時に慌てないよう、ペット専用の防災グッズと備蓄品を準備しておきましょう。避難所によってはペットと一緒に入れる場所(同行避難)が限られているため、事前に自治体のハザードマップやホームページで、ペット同行避難が可能な避難所を確認しておくことが非常に重要です。

備蓄品の種類

具体的な内容とポイント

食事と水

普段食べているペットフードと飲み水を最低5日分。食べ慣れないフードだと体調を崩すことがあるため、いつものものを準備します。

トイレ用品

ペットシーツ、猫用の砂、消臭袋など。避難生活での衛生管理に不可欠です。

医薬品

持病がある場合は常備薬を多めに確保。かかりつけの動物病院の連絡先も控えておきましょう。

身元表示

首輪と迷子札(連絡先を明記)、マイクロチップの情報、ペットの写真。万が一はぐれた時のために必ず準備します。

その他

ケージやキャリーバッグ、リード、お気に入りのおもちゃなど。ペットのストレスを軽減するアイテムも大切です。


2.2 情報収集に関する豆知識

災害発生時には、正確な情報をいかに早く入手するかが生死を分けます。しかし、SNSなどでは不確かな情報やデマが拡散されやすいため、信頼できる情報源を知っておくことが大切です。


2.2.1 オフラインでも使える防災アプリの活用法

大規模な災害では、通信障害でインターネットに接続できなくなる可能性があります。そこで役立つのが、オフラインでも機能する防災アプリです。事前に地図データや避難所情報をダウンロードしておくタイプのアプリをスマートフォンに入れておけば、電波がなくても現在地や最寄りの避難場所を確認できます。家族で同じアプリをインストールし、使い方を共有しておくといざという時にスムーズです。


2.2.2 信頼できる情報を見分けるコツ

災害時の情報収集は、公的機関からの発信を基本としましょう。気象庁、国土地理院、お住まいの自治体の公式サイトや公式SNSアカウントは信頼性が高い情報源です。SNSで情報を得る際は、「誰が」「いつ」発信した情報なのかを必ず確認する癖をつけましょう。「〇〇らしい」「聞いた話では」といった伝聞や、感情を煽るような投稿はデマの可能性が高いため、安易に拡散せず、まずは公的機関の情報で裏付けを取ることが重要です。


2.3 避難生活の豆知識

ライフラインが止まった自宅や避難所での生活は、多くの困難を伴います。身近なものを活用して、少しでも安全・快適に過ごすための知恵をご紹介します。


2.3.1 ツナ缶オイルランプの作り方と注意点

停電時の明かりとして、ツナ缶(油漬け)を使った簡易ランプが役立ちます。缶の真ん中にキリなどで穴を開け、ティッシュペーパーでつくったこよりを差し込み、油を吸わせた先端に火を点けるだけで、数時間持続するランプになります。ただし、火を使うため、火災には最大限の注意が必要です。必ず安定した場所に置き、周囲に燃えやすいものがないか確認し、絶対に火を点けたままその場を離れたり眠ったりしないでください。


2.3.2 新聞紙スリッパで足元を危険から守る

地震の後は、割れたガラスや陶器の破片が床に散乱している危険があります。そんな時に素足で歩き回るのは大変危険です。新聞紙を複数枚重ねて折りたたむだけで、簡易的なスリッパを作ることができます。寝室やリビングなど、すぐに手の届く場所に新聞紙を一部置いておくだけで、いざという時に足の裏を怪我から守ることができます。


2.3.3 ラップフィルムの意外で便利な活用法

食品用ラップフィルムは、防災グッズとして非常に優れたアイテムです。コンパクトで場所を取らない上に、様々な用途で活躍します。

活用法

具体的な使い方

食器の代用

お皿の上に敷いて使えば、使用後にラップを捨てるだけで済み、断水時の貴重な水を節約できます。

応急手当

清潔なガーゼや布の上から巻き付けることで、傷口を保護し、包帯の代わりとして使えます。

防寒・防水

体に巻き付けたり、靴下の上から足に巻いたりすることで、体温の低下を防ぎ、雨風から体を守ります。

ロープ代わり

細くねじって数本束ねることで、ちょっとしたものを縛るロープとして活用できます。

キッチンに1本だけでなく、防災リュックにも1本入れておくことを強くおすすめします。


3. 【災害別】特に注意したい災害対策の豆知識

災害は、その種類によって対策のポイントが大きく異なります。ここでは「地震」「台風・大雨」「大雪・停電」の3つのケースに分け、特に知っておきたい豆知識を具体的に解説します。


3.1 地震対策で知っておきたい豆知識

突然襲ってくる地震。日頃の備えが、あなたと家族の命を守ります。家具の固定だけでなく、もう一歩進んだ対策を知っておきましょう。


3.1.1 家具の「置き方」一つで生存率が変わる

家具の固定は基本ですが、どこに・どう置くかという「配置」も同じくらい重要です。寝室では、タンスなど背の高い家具をベッドの足元や枕元に置くのは避けましょう。また、ドアの近くや廊下など、避難経路を塞ぐ可能性のある場所には物を置かないのが鉄則です。

  • 重いものは下に、軽いものは上に収納する

  • 出入り口や廊下、階段には家具や物を置かない

  • 就寝中に倒れてこない位置に家具を配置する


3.1.2 通電火災を防ぐ「感震ブレーカー」

阪神・淡路大震災や東日本大震災では、地震の揺れそのものより火災で亡くなった方が数多くいました。特に「通電火災」は、停電が復旧した際に、倒れた家電や傷ついた配線から発火する現象で、避難して誰もいない家から出火するケースも少なくありません。これを防ぐのが揺れを感知して自動で電気を止める「感震ブレーカー」です。自治体によっては設置に補助金が出る場合もあるため、ぜひ導入を検討してください。


3.2 台風・大雨対策で知っておきたい豆知識

近年、勢力を増す台風や局地的な豪雨による被害が深刻化しています。正しい知識で、早め早めの行動を心がけましょう。


3.2.1 「垂直避難」と「水平避難」の正しい判断基準

避難には、安全な場所に移動する「水平避難」と、建物の上の階に移動する「垂直避難」があります。どちらを選ぶべきかは、お住まいの地域のハザードマップで事前に確認しておくことが重要です。


台風・大雨時の避難行動判断の目安

自宅の状況

推奨される避難行動

ハザードマップで「浸水想定区域」や「土砂災害警戒区域」内にある

警戒レベル3「高齢者等避難」が発令されたら、危険な場所から避難を開始しましょう(水平避難)。

頑丈なマンションの中層階以上で、浸水・土砂災害のリスクが低い

自宅に留まる方が安全な場合もあります(垂直避難)。ただし、ライフラインの寸断に備えた備蓄は必須です。


3.2.2 窓ガラス対策は養生テープだけでは不十分

台風の際に窓に養生テープを米印に貼る光景をよく見ますが、これはガラスが割れた際の飛散を防ぐのが主な目的で、窓ガラス自体の強度を上げる効果はほとんどありません。強風で物が飛んできた場合、ガラスは割れてしまいます。より安全を確保するためには、窓シャッターや雨戸を閉めるのが最も効果的です。それらがない場合は、段ボールなどで窓の内側を覆うことで、割れたガラスの室内への飛散を軽減できます。


3.3 大雪・停電対策で知っておきたい豆知識

大雪は交通網を麻痺させ、大規模な停電を引き起こすことがあります。特に寒い時期の停電は命に関わるため、正しい知識を身につけておきましょう。


3.3.1 水道管凍結を防ぐ「少量の水」

気温が氷点下になると水道管が凍結し、破裂する危険があります。就寝前や長時間の外出前には、蛇口から鉛筆の芯くらいの太さで水を少量出しっぱなしにしておくと、水が常に流れている状態になるため凍結を効果的に防げます。これは、水道管の水抜きが難しいマンションなどでも有効な対策です。


3.3.2 停電時の暖房と一酸化炭素中毒の危険

停電時にカセットコンロや石油ストーブで暖を取る際は、一酸化炭素中毒に最大限の注意が必要です。必ず1時間に1〜2回、数分程度の換気を行いましょう。また、車の中で暖を取る場合も危険が伴います。車のマフラーが雪で埋もれてしまうと、排気ガスが車内に逆流し、命を落とす事故につながります。定期的にマフラー周りの除雪を忘れないでください。


4. まとめ

災害対策の常識は、状況によって正解が変わります。本記事で解説した「机の下」や車避難の注意点、ツナ缶ランプのような実践的な豆知識を参考に、ご自身の備えを今一度見直しましょう。正しい知識と準備が、あなたと家族の命を守ります。

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