その一言で出身地が分かる?――面白方言特集①
- sinsirokeibi
- 1月27日
- 読了時間: 4分

「え、それってどういう意味?」何気ない一言で、こう聞き返された経験はありませんか。本人にとっては当たり前の言葉でも、地域が変わるとまったく通じない。方言とは、単なる言葉の違いではなく、その人が育った土地の空気や記憶まで一緒に運んでくるものです。
今回は、全国的にもよく知られていて、使った瞬間に出身地域がほぼ特定されてしまう定番方言をいくつか紹介します。どれも小話や雑談で盛り上がりやすいものばかりです。
「机を下げる」――九州・中国地方
「ちょっと机を下げて」この一言で、九州や中国地方出身だとピンと来る人は少なくありません。
この場合の「下げる」は、机を後ろに移動させる、片づけるという意味です。教室の掃除の時間や、給食前によく使われていた表現でしょう。
しかし、関東圏の人にとって「下げる」は、・高さを低くする・何かを取り下げるといった意味に聞こえがちです。
「え?脚を短くするの?」そんなズレたやり取りが生まれるのも、方言あるあるです。
本人は方言だと意識しておらず、大人になってから初めて「通じない」ことで気づく。そんな代表例が、この「机を下げる」です。
「机をつる」――北海道・東北・北陸の一部
さらに強烈なのが、「机をつる」です。これは主に、北海道や東北地方、北陸の一部で使われます。
意味は、机や椅子を持ち上げる、運ぶ。
掃除の時間に「机つってー!」と言われて、ぽかんとされた経験がある人も多いはずです。
「つる」という言葉自体は全国共通ですが、釣りや吊り下げるイメージが強く、家具を持ち上げる意味で使う地域は限られています。
この言葉が出ると、「あ、この人、雪国出身だな」と察する人もいます。
「教室の後ろ」か「教室の裏」か――関東と関西の違い
次は、方言というより言い回しの文化差です。
関東では、「教室の後ろ」という表現が一般的です。
一方、関西では、「教室の裏」という言い方をする地域が多くあります。
関東の人が聞くと、「え?裏って外?」と一瞬混乱します。
しかし関西では、「裏=奥」「後方」という感覚が自然に使われています。
同じ日本語でも、空間の捉え方が少し違う。この違いは、話しているうちにじわじわ出身地をにじませてきます。
「休み時間」か「放課」か――西日本でバレやすい言葉
学校関係で特に分かれやすいのが、「休み時間」と「放課」です。
全国的には「休み時間」が主流ですが、関西を中心とした西日本では、「次、放課やで」という表現がよく使われます。
意味は、授業と授業の間の休憩時間。
「放課後」の「放課」から来ているため、関西ではごく自然な言葉です。
しかし、関東圏ではあまり使われないため、「もう学校終わり?」と勘違いされることもあります。
この言葉が出ると、「関西出身ですか?」と聞かれる確率が一気に上がります。
「なおす」=片づける――関西・九州の定番
「それ、なおしといて」これも、関西や九州出身者が高確率で使う表現です。
意味は、元の場所に戻す、片づける。
全国的には「修理する」という意味が強いため、「え?壊れてないけど?」という反応が返ってくることも。
特に関西では、日常会話で頻出します。子どもの頃、「使ったらなおしなさい」と言われて育った人も多いでしょう。
この一言は、本人が思っている以上に、出身地をはっきり主張します。
方言は、直そうとすると逆に出る
面白いのは、「方言を直そう」と意識すると、緊張した瞬間や油断した瞬間に、ぽろっと出てしまうことです。
電話口でふと出る一言。職場での雑談中の一言。
そのとき、周囲から「今の、どこ出身?」と聞かれて、初めて自覚する。
方言は、言葉というより癖に近い存在です。
方言は恥ずかしいものではない
標準語が当たり前の環境では、方言を「直すもの」と考えてしまいがちです。
しかし、方言は決して欠点ではありません。むしろ、会話を和ませ、距離を縮めるきっかけになります。
「それ、どういう意味?」から始まる会話は、その人の育った場所や思い出に自然とつながっていきます。
その一言に、人生がにじむ
たった一言で、・雪国の冬・関西のにぎやかな教室・九州の給食前の風景
そんな情景が、ふっと浮かぶ。方言には、それだけの情報量があります。
もし、つい口から出てしまっても、慌てて直す必要はありません。それは、その人が歩いてきた人生の一部なのです。
次に誰かが、「机つって」「それ、なおしといて」と言ったら、そっと聞いてみてください。
「どこ出身なんですか?」
きっと、ちょっと面白い話が返ってくるはずです。



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