これからの警備員に求められるものとは?――時代の変化とともに変わる警備のあり方について考える

はじめに
警備員と聞くと、制服を着て現場に立ち、車両や歩行者を誘導している姿を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
私自身、警備の仕事に携わる中で、警備員の役割や働き方は時代とともに変化していると感じます。以前は「警備員は立って警備するもの」という考え方が一般的でした。しかし、近年では現場の状況や業務内容に応じて、椅子に座って警備を行うことも認められるようになってきました。
大切なのは、ただ立っていることではなく、必要な場面で確実に安全を守ることではないでしょうか。
今回は、これからの警備員に求められる姿勢と、警備業界が今後考えていくべきことについてお話しします。
1.警備員は立っていることが仕事なのか
警備の仕事をしていると、「警備員なのだから立っているのが当たり前」という考え方に出会うことがあります。
確かに、立って警備することで周囲を確認しやすくなり、車両や歩行者に対して迅速に対応できる場面はあります。特に交通誘導警備では、車両の出入りや歩行者の安全を確保するため、状況に応じた適切な動きが求められます。
一方で、現場によっては長時間にわたって同じ場所に立ち続ける必要がない場合もあります。
例えば、工事現場へのダンプカーの出入りを管理する業務では、車両が出入りする際に確実な誘導を行うことが重要です。車両が来ていない時間帯まで、必ずしも立ち続ける必要があるとは限りません。
もちろん、現場の安全上、常に立って周囲を監視する必要がある場合は別です。大切なのは、業務に必要な行動を見極め、警備の質を落とさずに効率的な働き方を考えることです。
警備員の仕事は、立っている姿を見せることではなく、人や車両の安全を守ることです。
この基本を忘れずに、現場ごとに適切な警備方法を考えていく必要があると思います。
2.暑さ対策は、警備員の安全を守るためにも必要
夏場の警備は、想像以上に体力を消耗します。
炎天下で長時間立ち続ければ、体力が奪われるだけでなく、熱中症の危険も高まります。警備員自身が体調を崩してしまえば、周囲の安全を守ることも難しくなります。
そのため、日傘や椅子の活用、適切な休憩、水分や塩分の補給など、現場に応じた暑さ対策を進めることが大切です。
もちろん、日傘や椅子を使用する際には、周囲の視界を妨げないことや、緊急時にすぐ対応できることなど、安全面への配慮が欠かせません。
また、暑い時間帯には休憩を確保し、必要に応じて配置や勤務方法を見直すことも重要です。
「昔は暑くても立っていた」「自分たちの時代はそれが当たり前だった」という経験は、決して無意味ではありません。しかし、過去の慣習をそのまま続けることが、必ずしも最善とは限りません。
警備員の健康を守ることは、現場全体の安全を守ることにもつながります。
3.日本の警備に対する価値観も変わり始めている
海外の店舗や施設では、椅子に座って警備を行う警備員を見かけることがあります。一方、日本では警備員が立っている姿を重視する考え方が、今も一部に残っています。
その背景には、「立っている方が真面目に見える」「お客様に安心感を与えられる」といった意識があるのかもしれません。
確かに、警備員の姿勢や態度は、施設や企業の印象に影響します。だらしない態度で勤務していれば、不安を感じる利用者もいるでしょう。
しかし、座っていることだけを理由に、仕事をしていないと判断するのは適切ではありません。
座っていても周囲を注意深く確認し、必要なときに迅速に行動できる警備員はいます。反対に、立っていても周囲への注意が不足していれば、十分な警備ができているとはいえません。
重要なのは、勤務中の姿勢だけで判断するのではなく、実際に必要な警備業務を果たしているかどうかです。
海外の事例をそのまま日本に取り入れればよいというわけではありませんが、他国の考え方から学べることはあるはずです。
日本でも、警備の品質を維持しながら、働く人にとって無理のない方法を取り入れていくことが求められているのではないでしょうか。
4.これからの警備員に求められる柔軟性
これからの警備員には、従来のやり方を守る姿勢だけでなく、状況に応じて柔軟に対応する力も求められると思います。
例えば、次のようなことが挙げられます。
安全を最優先にすること: 車両や歩行者の動きを正確に把握し、事故を未然に防ぐ。
状況を判断すること: 現場の状況に応じて、立つべき場面と座って待機できる場面を見極める。
利用者の立場で考えること: 丁寧な挨拶や分かりやすい案内を心がけ、安心感を与える。
健康管理を徹底すること: 暑さや寒さなどの環境に応じて、必要な対策を講じる。
新しい方法を受け入れること: これまでの慣習にとらわれず、安全性や業務効率を高める方法を考える。
こうした姿勢は、単に警備員の負担を軽くするためだけのものではありません。警備員が健康な状態で集中して働ける環境を整えることは、結果として警備の品質向上にもつながります。
ただし、柔軟な対応とは、決められたルールを守らなくてもよいという意味ではありません。警備計画や現場責任者の指示、必要な安全基準を守ったうえで、よりよい方法を考えることが大切です。
5.警備会社にも変化が求められる
警備員一人ひとりの意識を変えるだけでは、十分ではありません。
警備会社にも、時代に合った職場環境を整えていく姿勢が求められます。
例えば、現場の状況に応じた椅子や日傘の導入、休憩場所の確保、暑さ対策の徹底などです。また、発注者や施設の管理者に対して、どのような警備方法が安全性と働きやすさの両立につながるのか、具体的に説明していくことも必要でしょう。
警備員に無理をさせることで成り立つ職場では、長く働き続けることが難しくなります。経験を積んだ警備員が働き続けられる環境をつくることは、人材の確保や育成という面でも重要です。
もちろん、現場によって条件は異なります。すべての現場で同じ対応ができるわけではありません。だからこそ、それぞれの現場に合った方法を検討することが大切です。
警備員、警備会社、そして警備を依頼する側が協力し合うことで、より安全で働きやすい環境を実現できるのではないでしょうか。
6.これからも必要とされる警備員とは
今後、警備業界を取り巻く環境はさらに変化していくと考えられます。
働く人の価値観も変わり、健康や労働環境への配慮がこれまで以上に重視されるようになるでしょう。その中で、警備員に求められる役割も少しずつ変わっていくはずです。
しかし、どれだけ時代が変わっても、警備の基本である「人や財産を守る」という使命は変わりません。
立って警備することが必要な場面では、責任を持って立つ。座って待機できる場面では、周囲の安全を確保しながら適切に休む。そして、いざというときには迅速かつ的確に行動する。
こうしたメリハリのある働き方こそ、これからの警備員に必要なのではないでしょうか。
また、利用者が警備員に求めるものも、単に立っている姿だけではないはずです。丁寧な対応、確かな判断力、事故を防ぐ行動、そして安心して任せられる信頼感。これらを総合的に備えた警備員こそ、これからも必要とされる存在だと思います。
おわりに
警備の仕事には、長年受け継がれてきた大切な考え方や慣習があります。それらをすべて否定する必要はありません。しかし、時代が変化する中で、これまで当たり前とされてきたことを見直す姿勢も必要です。
「警備員は立っているべきだ」という考え方から、「安全を守るために、何が最も適切なのか」という考え方へ。
この意識の変化が、警備員の働きやすさだけでなく、警備サービス全体の向上にもつながっていくのではないでしょうか。
これからの警備員には、従来の経験を大切にしながらも、新しい考え方を柔軟に取り入れる姿勢が求められます。そして警備会社にも、現場で働く人と利用者の双方にとって、よりよい環境をつくる努力が必要です。
時代の変化に柔軟に対応しながら、安全を守るという本来の使命を果たしていく。
そんな警備員と警備会社が、これからの社会でますます必要とされていくことを期待しています。



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