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人の気持ちが分からない人に、上手な交通誘導はできない

  • sinsirokeibi
  • 3月10日
  • 読了時間: 3分

「人の気持ちを考える」

当たり前のことのようでいて、実はとても難しい。

どんな仕事であっても求められる基本的な力だろう。そしてそれは、交通誘導警備員という仕事でも例外ではない。


慣れが生む「作業化」

警備員を長く続けていると、どうしても「慣れ」が出てくる。

赤旗を出す。白旗を出す。車を止めて、流す。

毎日繰り返す動作だからこそ、体は自然に動くようになる。

それ自体は悪いことではない。経験が技術を生むのも事実だ。

しかしいつの間にか、

「いつものように旗を出せばいい」

そんな感覚で警備をしてしまってはいないだろうか。

今一度、立ち止まって考えたい。

私たちの誘導は、本当にそれでいいのか。


同じ車は一台もない

目の前を通る車は、毎日似たように見える。

けれど実際には、一台として同じ車はない。

  • 運転している人

  • 車種や大きさ

  • 運転技術

  • 急いでいる理由

  • その日の気分や体調

すべて違う。

警備員は、ただ交通を整理しているのではない。人の移動を預かっている仕事なのだ。


「急いでいる人」と「安全に通りたい人」

警備をしていると、ドライバーの様子は自然と見えてくる。

規制区間に近づいてもスピードを落とさない車。これは多くの場合、「急いでいる人」だ。

一方で、こちらが合図を出す前からゆっくり減速する車もある。

この人も急いでいないとは限らない。むしろ、

「安全に通行したい」気持ちが強い人なのだ。

この違いを感じ取れるかどうかで、誘導の質は大きく変わる。


白旗は「急かす道具」ではない

時折、自分が白旗を出したにもかかわらず、ゆっくり進む車にいらだつ様子の警備員を見かける。

旗を大きく振り、

「早く行け、早く行け」

そう急かすような動きになる。

しかし、ドライバーの立場からすればどうだろう。

工事現場の横を通る。人や重機が近くにいる。路面状況もいつもと違う。

慎重になるのは、むしろ自然な反応だ。

中には運転に自信のない人もいる。久しぶりに運転している人かもしれない。

警備員が自分本位で旗を振っている限り、ドライバーファーストの誘導は決してできない。


作業員に対しても同じこと

これはドライバーだけの話ではない。

作業員への対応にも表れる。

一般車を長く止めてまで、作業車を優先的に通そうとする警備員がいる。

確かに、その方が作業は早く始められるかもしれない。

しかし多くの作業員は、本心ではこう思っている。

「一般車を無理に止めてまで、自分たちを優先してほしくない」

道路は公共のものだ。その意識を持っている作業員は少なくない。

それを考えず、得意げに交通を止める姿を見ると、ふと思う。

――人の気持ちが見えているだろうか、と。


技術より先にあるもの

交通誘導には技術がある。

立ち位置、旗の角度、タイミング、視線配り。どれも大切な要素だ。

しかし、それらの土台にあるのはもっとシンプルなものだ。

相手の立場を想像すること。

  • この人は不安ではないか

  • 急いでいる理由があるのではないか

  • 今の誘導は分かりやすいか

そう考える習慣が、自然と動きを変えていく。


当たり前を、もう一度

「人の気持ちを考える」

どんな仕事でも語られる、ごく当たり前の鉄則。

そしてそれは、交通誘導警備員にとっても同じだ。

旗を持つ手の先には、必ず人がいる。

だからこそ、これからも――

人の気持ちが分かるよう努め、その気持ちに寄り添える誘導ができるよう、日々の現場で研鑽を積み重ねていきたい。

上手な交通誘導とは、技術の上手さではなく、思いやりの見える誘導なのだから。

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