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一本のコーヒーの力──交通誘導員が感じるささやかな励まし

sinsirokeibi
9月8日
読了時間: 5分

※この記事は、筆者が交通誘導の現場で感じてきた主観に基づく内容です。 すべての現場に当てはまるわけではありませんが、 「現場で働く一人の警備員の実感」として読んでいただければ幸いです。


交通誘導の仕事は、毎日が淡々とした繰り返しです。 事故を起こさないことが最優先であり、 「何事もなく終わること」が最も大切な成果になります。

しかし、何事もない日々が続くほど、 自分の仕事ぶりが良かったのか悪かったのか、 誰かの役に立てたのかどうか、 ふと不安になる瞬間があります。

そんなとき、 現場で差し入れとしてもらうコーヒーやスポーツドリンクが、心にしみるほど嬉しい   ということがあります。

ここでは、筆者が感じてきた 「差し入れが嬉しい理由」を3つの視点から語ります。


1. 差し入れをもらうことで、相手との距離がぐっと縮まる

交通誘導の仕事は、始まってしまえば基本的に孤独です。 自分だけで立つ現場もあれば、相方と二人で立つ現場もありますが、 どちらにしてもコミュニケーションの範囲は限られています。

現場監督と話すのは最初の打ち合わせだけ。 地域の方と話すのは、通行の案内をするときだけ。 上司が来るのは、巡回のほんの数分だけ。

そのため、 「自分はこの現場で一人で立っている」   という感覚になることがあります。

そんなとき、 現場監督や地域の方がふらっと近づいてきて、 「暑いからこれ飲んで」 「寒いだろう、温かいの買ってきたよ」 と差し入れを渡してくれる。

その瞬間、 胸の奥がじんわり温かくなるのです。

差し入れは、ただの飲み物ではありません。 “あなたの存在を見ていますよ”というメッセージでもあります。

警備員は、現場の端に立っているだけのように見えます。 しかし、差し入れをもらうことで、 「この現場の一員なんだ」 「一緒に仕事をしている仲間なんだ」 という感覚が芽生えます。


■ 仲間意識が生まれる瞬間

差し入れをもらうと、 相手との距離が一気に縮まります。

  • 現場監督からの差し入れ →「この人は自分を気にかけてくれているんだ」

  • 上司からの差し入れ →「見守ってくれているんだ」

  • 地域の方からの差し入れ →「この地域の安全を守っているんだ」

どれも、警備員にとっては大きな励ましです。

特に、 人がほとんど来ない現場ミスをして怒られた直後の現場では、 孤独感や孤立感が強くなります。

そんなときに差し入れをもらうと、 「さぁ、また頑張ろう」 という気持ちが自然と湧いてきます。

差し入れは、 現場で生まれる小さな“仲間意識”の象徴なのです。


2. 自分を認めてもらえたような気持ちになる

交通誘導の仕事は、 「何事もなく終わること」が最も大切です。

しかし、何事もないということは、 裏を返せば「成果が見えにくい」ということでもあります。

  • 危険を未然に防いだ

  • 歩行者を安全に誘導した

  • 車の流れをスムーズにした

こうした仕事は、 うまくいけばいくほど“何も起きない”ため、 誰からも評価されません。

そのため、 「今日の自分の仕事は良かったのだろうか」 「役に立てたのだろうか」 と不安になることがあります。

そんなとき、 現場の人から差し入れをもらうと、 自分の仕事ぶりを認めてもらえたような気持ちになるのです。



■ 差し入れは“無言の評価”

差し入れを渡す人は、 「あなたの仕事が素晴らしいです」 とは言いません。

しかし、 差し入れという行動そのものが、 「あなたの働きを見ていますよ」   という無言の評価になります。

警備員は、 褒められることが少ない仕事です。

だからこそ、 差し入れの一本が、 次の頑張りのエネルギーになります。

3. 夏場のスポーツドリンク、冬場のホットコーヒーは本当に体にしみる

交通誘導の現場は、季節によって過酷さがまったく違います。


■ 夏場のスポーツドリンク

炎天下のアスファルトは、体感温度が40度を超えることもあります。 汗は止まらず、体力はどんどん奪われていきます。

そんな中で差し入れとしてもらうスポーツドリンクは、 ただの飲み物ではありません。

  • 体にしみる

  • 頭がスッとする

  • 体力が戻る

  • 気持ちが軽くなる

涼しい部屋で飲むスポーツドリンクとは、 まったく別物の味がします。

「この一本で、あと2時間は頑張れる」 そんな気持ちになるのです。


■ 冬場のホットコーヒー

冬の現場は、手足の感覚がなくなるほど冷えます。 風が強い日は、体温がどんどん奪われていきます。

そんなとき、 差し入れとしてもらうホットコーヒーは、 まるで救いのように感じます。

  • 手が温まる

  • 体の芯がほぐれる

  • 気持ちが落ち着く

  • もう少し頑張ろうと思える

暖かい部屋で飲むコーヒーとは違い、 現場で飲むホットコーヒーは、 心まで温めてくれる力があります。


まとめ──差し入れは“飲み物以上の意味”を持っている

交通誘導の現場で差し入れをもらうことは、 単なる飲み物を受け取ることではありません。

  • 仲間意識が生まれる

  • 自分が認められたような気持ちになる

  • 過酷な現場で体と心が救われる

差し入れは、 警備員にとって小さな励ましのような存在です。

その一本が、 「また頑張ろう」という気持ちを生み、 現場の安全を守る力につながります。

差し入れをくれる人は、 そのことを意識していないかもしれません。 しかし、警備員にとっては、 その優しさが確かに力になっています。

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