3本の手を使う警備員――”デキる警備員”の技術とは
- sinsirokeibi
- 3月3日
- 読了時間: 4分

交通誘導警備員の仕事を見ていると、「ただ旗を振っているだけ」に見えるかもしれません。しかし実際の現場では、ほんの数秒の判断が交通の流れや安全性を大きく左右しています。
特に難しいのが、三方向以上に指示を出さなければならない場面です。
交差点、T字路、出入口が重なる現場――。そこでは警備員は、まるで「3本の手」を持っているかのような動きを求められます。
今回は、現場で本当に役立つ「3本の手」という考え方について紹介します。
両手はすでに埋まっている
交通誘導警備の基本は、多くの場合こうです。
右手:赤旗(停止)
左手:白旗(進行)
左右の車両へ明確な指示を出すため、両手は旗でふさがっています。直線道路の片側交互通行であれば、これで十分対応できます。
しかし問題は、交差点やT字路です。
例えば次のような状況。
片側車線の車を停止させている
反対車線の車は流している
さらに横から車が来る
つまり、三方向に同時に意思表示が必要になります。
ここで多くの警備員が直面するのが、「手が足りない」という問題です。
旗を使いすぎると誤解が生まれる
初心者がやりがちなミスがあります。
すべての方向に対して、手に持った旗で合図を出そうとすることです。
しかしこれは非常に危険です。
なぜなら――
停止させている車両から見ると「進行指示」に見える
流している車両が「止まれ」と誤認する
誰への指示なのか分からなくなる
つまり、旗の向き一つで交通が混乱するのです。
警備員の合図は、「出している本人」ではなく、受け取るドライバー側の視点で成立します。
だからこそ、旗の使い方には工夫が必要になります。
「3本目の手」を作る技術
ここで登場するのが、現場経験者が自然と身につけていく技術です。
それが――
白旗を脇に挟むという動作。
具体的にはこうです。
片手で赤旗を持ち、停止車両を確実に止める
白旗は脇に挟んで保持する
空いた「素手」で別方向へ合図を出す
こうすることで、
赤旗:停止の意思を維持
白旗:進行状態を保持
素手:第三方向への指示
つまり、実質的に3本の手を持つ状態が生まれます。
実は「素手」も正式な誘導手段
意外に思われるかもしれませんが、警備員の合図は赤旗と白旗だけではありません。
素手による合図も、立派な誘導手段です。
むしろ素手には利点があります。
指示対象を限定できる
誤解を生みにくい
細かなニュアンスを伝えられる
ドライバーの視線を誘導しやすい
例えば、
手のひらを前に向ければ停止
招く動作で発進
方向指示も明確
旗よりも直感的に伝わる場面は少なくありません。
素手を使わない誘導が招く問題
もちろん、素手をほとんど使わない警備員もいます。それ自体が間違いというわけではありません。
しかし実際には、
指示が大きくなりすぎる
合図が重複する
誰への指示か曖昧になる
結果として、
「分かりにくい誘導」になりやすい傾向があります。
ドライバーが迷う瞬間こそ、事故の種になります。
警備員の仕事は「動かすこと」ではなく、迷わせないことなのです。
「デキる警備員」は手の数が違う
経験豊富な警備員を観察すると、不思議な共通点があります。
動きに無駄がなく、交通が自然に流れていく。
それは反射神経でも体力でもありません。
どの方向に何を見せるか
どの手段で意思表示するか
誤解を生まない動きになっているか
これを常に考えているからです。
旗だけに頼らず、素手も使う。状況に応じて「見せる情報量」を調整する。
その結果、まるで3本の手を使っているような誘導になります。
「3本の手」を意識するだけで変わる
新人警備員にとって、三方向誘導は大きな壁です。ですが特別な技術が必要なわけではありません。
意識するのはたった一つ。
「今、自分は何本の手で誘導しているか」
旗は誰に見せているか
空いている手はあるか
素手を使えば誤解は減らないか
これを考えるだけで、誘導の分かりやすさは大きく変わります。
三方向以上を手際よく、安全にさばけるようになったとき――
きっと周囲からこう思われているはずです。
「あの人、誘導が分かりやすいな」と。
それこそが、「デキる警備員」の仲間入りなのかもしれません。



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