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あなたの親は大丈夫?「スマホ依存」60歳以上に広がっている影響:家族との会話減りSNSに没頭する高齢者の現状と解決策

  • sinsirokeibi
  • 8月1日
  • 読了時間: 13分
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最近、家族との会話が減り、SNSに没頭する60歳以上のスマホ依存が社会問題化しています。今回は、高齢者のスマホ利用の現状と背景、あなたの親がスマホ依存かどうかのチェックリスト、そして家族ができる具体的な予防策と解決策について解説していきたいと思います。


1. はじめに 高齢者のスマホ利用増加と「スマホ依存」の懸念

かつては若者層が中心だったスマートフォンの利用も、今や日本の高齢者層に広く浸透しています。総務省の通信利用動向調査などを見ても、60代、70代のスマートフォン所有率は年々増加の一途を辿り、デジタルデバイスが日常生活に不可欠な存在となりつつあります。これにより、家族や友人とのコミュニケーションが容易になったり、最新の情報にアクセスしやすくなったりと、多くのメリットがもたらされているのは事実です。

しかし、その一方で、スマートフォンの利用時間が増加するにつれて、「スマホ依存」という新たな問題が、高齢者層の間でも深刻化している兆候が見られます。便利なツールであるはずのスマートフォンが、時に生活の質を低下させ、家族関係にひびを入れる可能性も指摘され始めています。本記事では、あなたの親御さんがスマホを適切に利用できているか、そしてもし依存の兆候が見られる場合にどのようにサポートすべきかについて深く掘り下げていきます。


1.1 あなたの親は大丈夫?広がる高齢者のスマホ利用の実態

スマートフォンは、高齢者の生活に多くの恩恵をもたらす一方で、使い方によっては新たな課題も生み出しています。例えば、LINEなどのメッセージアプリやビデオ通話を通じて、遠方の家族や友人と手軽に連絡を取り合えるようになったことは、高齢者の孤立感を和らげる上で非常に有効です。また、ニュースアプリで世の中の出来事を把握したり、健康管理アプリで自身の体調を記録したりと、情報収集や自己管理のツールとしても活用されています。

しかし、これらの利便性の裏側には、過度な利用による「スマホ依存」のリスクが潜んでいます。特に、SNSへの没頭やオンラインゲームへの過剰な時間投入は、現実世界での交流を減少させ、結果として家族との会話が減る、といった問題を引き起こすことがあります。

高齢者のスマートフォン利用における「光と影」は、以下の表のようにまとめることができます。

高齢者のスマホ利用の側面

具体的な内容

光(メリット)

  • コミュニケーションの円滑化:LINEやビデオ通話による家族・友人との交流促進

  • 情報収集の容易化:ニュース、天気、地域情報、健康情報への手軽なアクセス

  • 趣味・娯楽の拡大:動画視聴、オンラインゲーム、趣味のコミュニティ参加

  • 生活の利便性向上:キャッシュレス決済、地図アプリ、交通機関の時刻表確認

影(懸念)

  • スマホ依存のリスク:過度な利用による日常生活への支障

  • 家族との会話減少:スマホに没頭し、現実でのコミュニケーションが希薄化

  • SNSへの過度な没頭:情報の真偽を見極める力の低下、SNS疲れ

  • 健康への影響:運動不足、睡眠障害、眼精疲労、肩こりなど

  • 孤立感の増大:リアルな交流機会の減少、オンライン上の人間関係への過度な依存

  • 詐欺・フェイクニュースへの脆弱性:情報リテラシー不足による被害リスク

この章では、高齢者のスマホ利用がもたらす多様な側面を概観し、単なる利便性だけでなく、潜在的なリスクにも目を向けることの重要性を提示します。次の章では、より具体的に「スマホ依存」の現状と背景について深掘りしていきます。


2. 「スマホ依存」60歳以上に広がる現状と背景

2.1 60歳以上のスマホ利用率と利用時間の変化

近年、60歳以上の高齢者におけるスマートフォンの利用が急速に拡大しています。かつては若年層が中心だったスマホ利用も、今やシニア世代にとって生活に不可欠なツールとなりつつあります。総務省の通信利用動向調査などによると、60代、70代、さらには80代のスマホ普及率は年々上昇の一途をたどり、多くの高齢者が日常的にスマホを活用している実態が明らかになっています。

特に、新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降は、外出自粛や人との接触機会の減少により、デジタルツールを通じたコミュニケーションや情報収集のニーズが高まりました。これにより、これまでスマホに馴染みがなかった高齢者層も、家族との連絡手段としてLINEを利用したり、オンラインでニュースや趣味の情報を得たり、YouTubeなどの動画コンテンツを視聴したりと、スマホ利用を開始・加速させるきっかけとなりました。

スマホの利用時間の増加も顕著です。以前は通話やメールが主な用途でしたが、現在ではSNSでの交流、オンラインゲーム、動画視聴、健康管理アプリの利用、オンラインショッピングなど、多岐にわたる用途で長時間スマホに触れる高齢者が増えています。特に、SNSや動画コンテンツは、手軽にアクセスでき、時間消費型の娯楽として高齢者の利用時間を大きく伸ばす要因となっています。

以下に、高齢者のスマホ利用率の傾向を示します。具体的な数値は変動しますが、増加傾向にあることをご理解いただくためのものです。

年代

スマートフォンの個人利用率(傾向)

主な利用目的(例)

60代

高水準で推移、さらなる増加傾向

SNS、ニュース、動画、健康管理、家族との連絡

70代

急速に増加中、多くの人が利用

LINEなどのコミュニケーション、ニュース、動画、オンラインショッピング

80代以上

増加傾向、限定的な利用から多様化へ

家族との連絡、簡単な情報検索、写真


2.2 高齢者がスマホに没頭する心理的背景と要因

高齢者がスマホに没頭し、中には「スマホ依存」とも呼べる状態に陥る背景には、単なる利便性だけでなく、複雑な心理的要因が絡み合っています。高齢期特有のライフステージの変化が、スマホへの依存を促す土壌となっているケースが少なくありません。


2.2.1 孤独感の解消と社会とのつながり

配偶者との死別、子どもの独立、退職による社会との接点の減少など、高齢期には孤独を感じやすい状況に直面することが多くなります。このような時、スマホは手軽に人とのつながりを感じられるツールとして機能します。SNSを通じて旧友と再会したり、趣味のグループに参加したり、離れて暮らす家族とビデオ通話を楽しんだりすることで、孤独感が一時的に解消され、社会とのつながりを維持している感覚を得られます。この「つながり」への欲求が、スマホ利用を加速させる大きな要因となります。


2.2.2 情報収集と知的好奇心

高齢になっても、多くの人は新しい情報を得たいという知的好奇心を持っています。健康に関する情報、趣味の知識、地域イベントの情報など、スマホを使えば手軽に多様な情報にアクセスできます。テレビや新聞だけでは得られないニッチな情報や、最新の話題に触れることで、社会から取り残されないという安心感や、精神的な充実感を得られることがあります。この情報収集の利便性が、スマホ利用を習慣化させます。


2.2.3 エンターテイメントと時間消費

スマホは、手軽なエンターテイメントの宝庫です。YouTubeで昔の歌番組や映画を観たり、簡単なパズルゲームを楽しんだり、ニュースアプリで時間を潰したりと、自宅で過ごす時間が多い高齢者にとって、手軽に楽しめる娯楽を提供します。特に、時間が有り余る中で刺激を求める心理が働き、スマホの画面に没頭することで、退屈や虚無感を埋めようとする傾向が見られます。


2.2.4 承認欲求と自己肯定感の維持

SNSの利用を通じて、自分の投稿に「いいね」が付いたり、コメントをもらえたりすることは、承認欲求を満たし、自己肯定感を高めることにつながります。特に、現役時代には社会的な役割や評価を得ていた人が、退職後にそうした機会が減少した際、SNS上での他者からの反応が、自身の存在価値を確認する手段となることがあります。このポジティブなフィードバックを求める心理が、SNSへの没頭を促す要因となり得ます。


2.2.5 デジタルデバイドの解消と孫世代との交流

若年層とのデジタルデバイド(情報格差)を解消したいという意識も、スマホ利用を促す一因です。孫が使っているSNSやゲームについて知ることで、共通の話題を見つけ、コミュニケーションを深めたいと考える高齢者もいます。家族や孫との円滑なコミュニケーションを保つためのツールとしてスマホを使いこなそうとする努力が、結果的に利用時間の増加につながることがあります。

これらの心理的背景や要因が複合的に作用することで、高齢者はスマホに深く依存しやすくなる傾向にあります。スマホがもたらす利便性や満足感が、過度な利用へとつながり、結果として家族との会話の減少や日常生活への影響といった問題を引き起こす可能性を秘めているのです。


3. あなたの親は「スマホ依存」?高齢者のスマホ依存チェックリスト

3.1 こんな行動が見られたら要注意 スマホ依存の兆候

高齢者のスマホ利用が当たり前になる中で、「使いすぎ」と「依存」の境界線を見極めることは非常に重要です。あなたの親が以下のような行動や変化を見せ始めたら、それはスマホ依存の兆候かもしれません。早めに気づき、適切な対応を考えるきっかけにしてください。

以下のチェックリストは、高齢者のスマホ依存によく見られる特徴をまとめたものです。当てはまる項目が多いほど、スマホ依存のリスクが高いと考えられます。

チェック項目

具体的な兆候・影響

スマホの利用時間が極端に長い

食事中、テレビを見ている時、就寝前など、常にスマホを手にしている。気づけば数時間以上スマホを操作していることが頻繁にある。特にYouTubeでの動画視聴や、LINEでのグループチャットに没頭しがちです。

他の活動への関心が薄れる

以前楽しんでいた趣味(読書、園芸、散歩など)や家事、外出よりも、スマホの操作を優先するようになる。家族や友人からの誘いも「スマホがあるからいい」と断ることが増える。

スマホがないと落ち着かない・イライラする

スマホの充電が切れたり、Wi-Fiが繋がらなかったりすると、ひどく不安になったり、怒りっぽくなったりする。スマホを一時的に手放すことを嫌がり、禁断症状のような様子を見せる。

家族との会話が減少する

家族が話しかけても、スマホから目を離さずに上の空で返事をしたり、会話中にスマホを操作し続けたりする。一緒にいる時でもスマホに没頭し、コミュニケーションが希薄になる。

睡眠の質や生活リズムの乱れ

夜遅くまでスマホを操作しているため、寝つきが悪くなったり、睡眠時間が短くなったりする。日中に眠気を感じたり、生活リズムが不規則になったりする。

SNSやオンラインコンテンツへの過度な没頭

特定のSNS(例:Facebook、X(旧Twitter)、LINEなど)やYouTubeなどの動画サイト、オンラインゲーム、オンラインショッピングに過度に時間を費やす。「いいね」やコメントの反応を頻繁に確認し、他人の投稿に一喜一憂する。

スマホ利用を隠そうとする

家族にスマホの利用時間や内容を尋ねられると、ごまかしたり、嘘をついたりする。隠れてスマホを操作することが増えるなど、後ろめたさを感じている様子が見られる。

身体的な不調の訴え

目の疲れ、肩こり、首の痛み、頭痛などを頻繁に訴えるが、スマホの利用を控える様子がない。運動不足になり、体力が低下する。

集中力や記憶力の低下

スマホの通知が気になり、目の前のことに集中できない。最近の出来事や約束を忘れやすくなるなど、認知機能への影響が懸念される。

現実逃避の手段として利用

孤独感や不安、退屈な時間を紛らわすために、スマホに依存する傾向が見られる。現実の問題から目を背けるためにスマホに没頭し、バーチャルな世界に引きこもりがちになる。

これらの項目に複数当てはまる場合は、単なる「便利に利用している」状態を超え、スマホが生活の中心となり、悪影響を及ぼし始めている可能性があります。次の章では、こうした状況を未然に防ぎ、健全なスマホ利用を促すための具体的な解決策について詳しく解説します。


4. 「スマホ依存」を未然に防ぐ 健全なスマホ利用を促すには

4.1 家族がサポートできる予防策と環境づくり

高齢者のスマホ依存を防ぐためには、本人だけでなく家族の理解と積極的なサポートが不可欠です。家族が適切な予防策を講じ、健全な利用を促す環境を整えることで、深刻な状態になるのを未然に防ぎ、高齢者がより豊かな生活を送る手助けができます。


4.1.1 家族との「対話」を増やす工夫

高齢者がスマホに没頭する背景には、孤独感や家族とのコミュニケーション不足がある場合があります。意識的にスマホの使用時間を減らし、家族との対面での会話や交流の時間を意図的に増やすことが重要です。共通の趣味を見つけたり、一緒に外出する機会を設けたり(散歩、買い物、食事など)、高齢者が話したがっていることに耳を傾け、共感を示すことで、心のつながりを深めることができます。


4.1.2 スマホ以外の「楽しみ」を見つける手助け

スマホが生活の中心になってしまうのは、他に夢中になれるものがないからかもしれません。高齢者が以前から持っていた趣味や、新しく興味を持ちそうな活動(読書、手芸、園芸、地域のサークル活動、ボランティアなど)を一緒に探してみましょう。新しいことを始めるきっかけを提供し、一緒に体験してみることで、スマホ以外の楽しみを見つけ、生活の質を向上させることができます。


4.1.3 健全な利用のための「ルール」を話し合う

一方的にスマホの利用を制限するのではなく、高齢者本人の意見も尊重しながら、家族で話し合い、納得のいくルールを設定することが大切です。例えば、食事中はスマホを使わない、寝室には持ち込まない、特定の時間帯はスマホを触らない、といった具体的なルールを決めます。ルールは柔軟に見直し、守れたら褒めるなど、ポジティブな声かけを心がけましょう

ルール設定のポイント

具体的な内容

話し合いで決める

高齢者本人の意見を尊重し、一方的な押し付けにならないようにする

具体的な時間や場所を定める

「食事中は使わない」「寝室には持ち込まない」など、明確なルールにする

柔軟に見直す

一度決めたルールも、状況に応じて見直し、調整する

守れたらポジティブな声かけ

ルールを守れた際には、感謝や労いの言葉をかけ、意欲を促す


4.1.4 家族自身の「デジタルデトックス」で模範を示す

高齢者のスマホ依存を心配する一方で、家族自身もスマホの過度な使用をしていないか見直すことも重要です。家族自身がスマホの健全な利用を実践し、高齢者の前で模範を示すことで、より効果的な予防につながります。家族全員で「ノーデバイスタイム」(スマホを使わない時間)を設けるなど、家庭全体でデジタルデトックスに取り組むのも良い方法です。


4.1.5 必要に応じた「専門機関」への相談

家族の努力だけでは高齢者のスマホ依存が改善しないと感じる場合や、状況が深刻化していると感じたら、躊躇せず専門機関に相談することを検討しましょう。地域包括支援センター、精神保健福祉センター、心療内科、あるいは依存症専門の相談窓口など、適切なサポートを受けられる場所があります。専門家のアドバイスは、問題解決への大きな一歩となるでしょう。


5. まとめ

高齢者のスマホ依存は、家族との会話減少やSNS没頭を招く深刻な問題です。この現状に対し、家族が早期に気づき、適切な予防策やサポートを行うことが不可欠です。デジタルデトックスや家族との対話を通じて、高齢者がスマホと健康的に向き合えるよう、共に健全な利用習慣を築いていきましょう。

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