【プロが見抜く】交通誘導に関して、良い警備員と悪い警備員の見分け方
- sinsirokeibi
- 10月14日
- 読了時間: 17分
街で見かける交通誘導警備員。本記事を読めば、服装や合図から良い警備員と悪い警備員を一瞬で見分けるポイントが分かります。質の悪い警備員がいる背景や遭遇時の対処法、優良な警備会社の選び方まで、プロが徹底解説します。

1. 交通誘導における良い警備員と悪い警備員の違いとは
工事現場や商業施設の駐車場など、私たちが日常的に目にする交通誘導警備員。彼らの的確な誘導によって、私たちは安全かつスムーズに通行できています。しかし、中には首を傾げたくなるような警備員がいるのも事実です。その仕事ぶりの差はどこから生まれるのでしょうか。実は、良い警備員と悪い警備員には、単なる技術の差以上に、仕事に対する姿勢や意識に根本的な違いが存在します。
1.1 根本的な違いは「プロ意識」と「責任感」
交通誘導警備の質を決定づける最も大きな要因、それは「自分の仕事が人命と安全に直結している」というプロ意識と責任感です。良い警備員は、常に「もし事故が起きたらどうなるか」という緊張感を持ち、車両のドライバー、歩行者、現場の作業員など、関わるすべての人々の安全を最優先に考えて行動しています。一方で、質の低い警備員は、この業務を単なる「時間をやり過ごすための仕事」と捉えがちで、その意識の低さが態度や行動に表れてしまうのです。
1.2 一目でわかる比較表:良い警備員 vs 悪い警備員
両者の違いは、具体的な行動として明確に現れます。以下の表で、その典型的な違いを比較してみましょう。
このように、安全への意識の高さは、立ち姿、合図、表情といった外見的な特徴に必ず表れます。これらのポイントを知っておくだけで、警備員の質をある程度見抜くことが可能です。次の章からは、特に問題となる「悪い交通誘導警備員」の具体的な特徴について、さらに詳しく掘り下げていきます。
2. 一目瞭然 悪い交通誘導警備員の典型的な特徴5選
工事現場や駐車場などで見かける交通誘導警備員。私たちの安全を守る重要な役割を担っていますが、残念ながら中には「本当にプロなのだろうか?」と疑問に思うような警備員も存在します。ここでは、一目見ただけで分かる「悪い交通誘導警備員」の典型的な特徴を5つ、具体的に解説します。
2.1 だらしない服装や汚れた装備
警備員の服装や装備は、そのプロ意識を映す鏡です。サイズが合っていなかったり、シワや汚れが目立つ制服を着用している警備員は、安全に対する意識が低い可能性があります。清潔感のない身だしなみは、周囲からの信頼を損ない、ドライバーや歩行者がその指示に素直に従わない原因にもなり得ます。
また、誘導灯が汚れていて光が見えにくかったり、手旗が破れていたりするなど、装備品の手入れが不十分な場合も同様です。命を預かる仕事であるにもかかわらず、そのための道具を大切に扱えない警備員が良い仕事をするとは考えにくいでしょう。
2.2 自己流で分かりにくい危険な合図
交通誘導の合図は、車両のドライバーや歩行者との唯一のコミュニケーション手段です。しかし、悪い警備員は自己流の分かりにくい合図を出す傾向があります。動きが小さく、キビキビとした動作が見られないため、ドライバーは「進め」なのか「止まれ」なのか判断に迷ってしまいます。
こうした曖昧で中途半端な合図は、ドライバーの誤解を招き、急ブレーキや追突事故を誘発する極めて危険な行為です。プロの警備員であれば、誰が見ても一瞬で意図が伝わる、明確で大きな合図を送るものです。
2.3 スマートフォン操作や私語が多い
警備業務中にスマートフォンを操作したり、同僚との私語に夢中になったりする行為は、職務怠慢の典型です。交通誘導は、常に車両や歩行者の流れ、予期せぬ危険の発生に注意を払う必要がある、集中力が求められる仕事です。
注意が散漫な状態では、接近してくる車両や、急に飛び出してくる歩行者を見落とす可能性が飛躍的に高まります。一瞬の気の緩みが、取り返しのつかない人身事故に直結する危険性をまったく理解していない証拠と言えるでしょう。
2.4 周囲を見ていない無気力な態度
一点をぼーっと見つめていたり、下を向いていたり、明らかにやる気のない態度で立っているだけの警備員も危険です。交通誘導警備員の重要な責務は、周囲の状況を常に監視し、危険を予知することにあります。
車両の流れや速度、歩行者の動き、工事の進捗状況などを総合的に把握せず、ただ所定の位置に立っているだけでは、突発的な事態に対応できません。このような無気力な態度は、周囲の安全を確保するという最も重要な責務を放棄しているに等しい行為です。
2.5 横柄な言葉遣いや不愛想な表情
交通誘導は、時に歩行者やドライバーに協力を求める場面があります。その際に、高圧的で横柄な態度や命令口調で接する警備員は、円滑な誘導を妨げる存在です。不愛想な表情で睨みつけるように接すれば、相手も不快に感じ、協力を得にくくなるのは当然です。
円滑なコミュニケーションを自ら放棄するような態度は、無用なトラブルやクレームを引き起こす大きな原因となります。安全を守るためには、丁寧な言葉遣いと相手への配慮が不可欠です。
3. プロが実践する良い交通誘導警備員の素晴らしい仕事ぶり
街の安全を守る交通誘導警備員。その中でも「プロフェッショナル」と呼べる警備員は、単に車両を捌くだけでなく、その場にいるすべての人に安心感を与えます。ここでは、悪い警備員とは一線を画す、優れた交通誘導警備員の具体的な仕事ぶりを5つのポイントに絞って詳しく解説します。
3.1 清潔感のある服装と手入れされた装備
優れた警備員は、まず見た目からプロ意識が感じられます。なぜなら、服装や装備の状態が、そのまま仕事への姿勢と信頼性に直結することを熟知しているからです。シワひとつない制服、磨かれた安全靴、そして体に合ったサイズのヘルメットやベストは、周囲に「この人に任せておけば安全だ」という無言のメッセージを送ります。
また、誘導棒やトランシーバー、警笛といった装備品も常に点検・整備されています。誘導棒のライトが切れかけていたり、汚れていたりすることは決してありません。こうした細部へのこだわりが、万が一の事態を防ぎ、質の高い警備業務を支えているのです。
3.2 キビキビとして誰が見ても分かりやすい合図
交通誘導の要は、なんといっても「合図」です。プロの警備員が繰り出す合図は、まるで舞のような美しさと、誰が見ても一瞬で理解できる明瞭さを兼ね備えています。一つひとつの動作にメリハリがあり、中途半端な動きは一切ありません。ドライバーや歩行者が一瞬の迷いもなく、次どう動けば良いかを判断できるため、スムーズで安全な交通の流れが生まれます。
自己流の分かりにくい合図は、かえって混乱や事故を招く原因となります。プロは警備業法に定められた基本の合図を徹底し、それを現場の状況に応じて的確に使い分ける技術を持っています。
3.3 常に周囲の安全を気にかける鋭い観察眼
優れた警備員は、ただ目の前の車両を誘導しているだけではありません。360度全方位に意識を張り巡らせ、潜在的な危険を予測する「鋭い観察眼」を持っています。車両の流れや速度はもちろん、歩行者(特に注意が必要な子供や高齢者)、自転車の動き、工事現場の資材の状況、さらには天候の変化まで、あらゆる情報を瞬時に収集・分析しています。
「急に人が飛び出してくるかもしれない」「あの先のカーブからバイクが来るかもしれない」といった危険予知、いわば「かもしれない警備」を常に実践することで、事故を未然に防いでいるのです。この観察眼こそ、経験豊富なプロフェッショナルとそうでない者とを分ける大きな違いと言えるでしょう。
3.4 歩行者やドライバーへの丁寧なコミュニケーション
交通誘導は、力で人を従わせる仕事ではありません。人々の協力を得て、安全を確保する仕事です。そのため、プロの警備員はコミュニケーション能力に長けています。横柄な態度は一切なく、ドライバーや歩行者に対して常に丁寧な言葉遣いと謙虚な姿勢で接します。
「ご協力ありがとうございます」「お急ぎのところ申し訳ございません」といった一言や、丁寧な会釈があるだけで、現場の雰囲気は格段に良くなります。このような円滑なコミュニケーションは、人々の心理的なストレスを和らげ、結果として交通誘導へのスムーズな協力を引き出し、現場全体の安全性を高めることに繋がるのです。
3.5 イレギュラーな事態にも冷静に対応する判断力
工事現場や道路では、予期せぬトラブルが発生することがあります。例えば、車両の故障、急な豪雨、あるいは交通事故の発生などです。素人警備員がこのような事態に陥ると、パニックになってしまい、かえって状況を悪化させてしまうことがあります。
しかし、プロの警備員は違います。豊富な経験と訓練に裏打ちされた冷静な判断力で、瞬時に最善の対応策を導き出します。警察や消防への的確な連絡、二次災害を防ぐための迅速な交通規制、他の警備員との連携など、定められた手順に従って落ち着いて行動できるのです。交通誘導警備業務検定などの有資格者は、こうした緊急時対応能力も高く、まさに現場の頼れる司令塔となります。
4. なぜ質の悪い警備員が存在するのか その背景を解説
街中で見かける交通誘導警備員の中には、残念ながら質の低い対応をする人がいるのも事実です。では、なぜそのような警備員が存在してしまうのでしょうか。その背景には、警備員個人の資質だけの問題ではなく、警備業界が抱える構造的な課題が複雑に絡み合っています。
4.1 警備業界が抱える構造的な課題
質の悪い警備員が生まれる根本的な原因の一つに、警備業界全体の構造的な問題が挙げられます。
4.1.1 深刻な人手不足と高齢化
交通誘導警備は、屋外での立ち仕事であり、夏は酷暑、冬は極寒という厳しい労働環境です。そのため、特に若年層の人材が集まりにくく、業界全体で慢性的な人手不足と従業員の高齢化が進行しています。人手が足りないため、十分な適性がない人材でも採用せざるを得ない状況や、体力的に厳しい高齢者が無理をして勤務しているケースが散見されます。
4.1.2 待遇面と社会的地位の問題
警備員の給与水準は、他の産業と比較して高いとは言えないのが現状です。警備会社間の価格競争が激化し、そのしわ寄せが警備員の待遇に来てしまうことも少なくありません。待遇の悪さは優秀な人材の流出や、働く人のモチベーション低下に直結します。結果として、「他に仕事がないから仕方なく」という意識で働く人が増え、サービスの質の低下を招く一因となっています。
4.2 警備会社側の教育・管理体制の問題
警備員を雇用し、現場へ派遣する警備会社側の体制にも課題が見られます。
4.2.1 形式的になりがちな教育・研修
警備業法では、警備員に対して新任教育や現任教育といった法定研修を義務付けています。しかし、会社によっては、この研修が法律で定められた時間をこなすだけの形式的なものになっている場合があります。実践的なスキルや高い職業倫理が身につかないまま現場に送り出されれば、当然ながら質の低い警備しかできません。
4.2.2 採用基準の低下と管理不足
前述の人手不足を背景に、警備員としての適性やコミュニケーション能力を十分に考慮せず、採用のハードルを下げて人員を確保しようとする会社も存在します。また、現場に派遣した後の巡察や指導といった管理体制が不十分な場合、個々の警備員の勤務態度が悪化しても是正されず、放置されてしまうことになります。
5. もし悪い交通誘導警備員に遭遇した場合の対処法
交通誘導中に危険を感じたり、不快な思いをしたりした場合、感情的にその場で警備員と口論になるのは避けるべきです。ご自身の安全を確保することが最優先です。ここでは、ドライバーや歩行者の立場から、冷静かつ適切に対処するための具体的な方法を解説します。
5.1 その場での直接的な衝突は避ける
横柄な態度や危険な誘導に対して、直接文句を言いたくなる気持ちは分かります。しかし、路上での口論はさらなる交通の妨げや、予期せぬトラブル、最悪の場合は事故につながる可能性があります。まずはその場を安全に離れ、後から然るべき場所に連絡することが賢明な判断です。
5.2 具体的な通報・連絡先と伝え方のポイント
問題のある警備員について報告する場合、どこに連絡すれば良いのでしょうか。状況に応じて適切な連絡先が異なります。
5.2.1 まずは警備会社か現場の責任者へ
最も直接的で効果的なのは、その警備員が所属する警備会社へ連絡することです。警備員の制服やヘルメット、近くに停車している車両に会社名が記載されていることが多いです。もし現場に監督者や責任者らしき人物がいれば、その方に直接伝えるのも一つの方法です。客観的な事実を冷静に伝えることが、問題を解決するための鍵となります。
5.2.2 工事現場の場合は施工会社(発注者)へ
建設工事や道路工事の現場であれば、警備会社に業務を委託している施工会社(ゼネコンなど)や発注者(自治体など)に連絡する方法も有効です。通常、工事現場の周辺には「工事看板」が設置されており、そこには施工会社や発注者の連絡先が明記されています。警備員の指導・教育責任は、発注者側にもあるため、改善を促す効果が期待できます。
5.2.3 身の危険を感じたら迷わず警察へ
警備員の誘導が原因で、明らかに交通の危険が生じている、または事故につながりかねない悪質な状況である場合は、ためらわずに110番通報してください。例えば、交通の流れを完全に無視した誘導で大渋滞を引き起こしている、威圧的な態度で車両を無理に止めようとする、といったケースが該当します。警察官が臨場し、交通の安全を確保するための適切な措置を講じてくれます。
5.3 連絡する際に記録しておくと良い情報
通報や連絡をスムーズに行い、事実を正確に伝えるためには、以下の情報をできる限り記録しておくことをお勧めします。スマートフォンでメモを取るか、ドライブレコーダーの映像を確認するのも有効です。
これらの情報を整理して伝えることで、警備会社や施工会社は迅速に事実確認を行い、当該警備員への指導や配置転換といった適切な対応を取りやすくなります。
6. 発注者必見 良い警備員が所属する警備会社の見極め方
工事現場やイベントのスムーズな進行と安全確保は、現場に立つ警備員の質に大きく左右されます。そして、質の高い警備員は、質の高い警備会社に所属しているものです。ここでは、交通誘導を依頼する発注者の視点から、信頼できる警備会社を見極めるための重要なチェックポイントを解説します。
6.1 教育・研修制度の充実度を確認する
警備員のスキルやマナーは、所属する会社の教育体制に直結します。警備業法で定められた法定研修(新任教育・現任教育)はもちろんのこと、会社独自の研修プログラムが充実しているかを確認しましょう。
例えば、実際の現場を想定した実践的な誘導訓練、接遇マナー研修、事故事例の研究会などを定期的に実施している会社は、警備員の質の向上に熱心であると言えます。ホームページや会社案内で、どのような教育に力を入れているかを具体的に示している会社は、信頼できる可能性が高いでしょう。
6.2 交通誘導警備業務検定などの資格保有者数
交通誘導警備には、国家資格である「交通誘導警備業務検定(1級・2級)」が存在します。高速道路や自動車専用道路など、特定の路線で交通誘導を行う際には、この資格を持つ警備員の配置が法律で義務付けられています。
資格保有者が多数在籍していることは、会社の専門性と技術力の高さを証明するものです。資格者の配置が義務付けられていない一般的な道路での警備であっても、有資格者を配置できる提案力があるかは、その会社の層の厚さを見極める一つの指標となります。
6.3 万が一に備えた損害賠償保険への加入
どれだけ優れた警備員が注意を払っていても、不測の事態による事故のリスクをゼロにすることはできません。万が一、警備員の誘導が原因で物損事故や人身事故が発生した場合に備え、警備会社が適切な損害賠償保険に加入しているかは必ず確認すべき必須項目です。
契約前に、保険の加入状況だけでなく、対人・対物それぞれにおける補償の限度額が十分であるかをしっかりと確認し、書面で提示を求めましょう。誠実な会社であれば、速やかに情報を提供してくれます。
6.4 担当者のヒアリング力と提案力
最初の問い合わせや打ち合わせの際の、営業担当者の対応も重要な判断材料です。ただ単に「何人必要ですか?」と聞くだけでなく、現場の状況、時間帯、交通量、周辺環境などを細かくヒアリングし、潜むリスクを的確に洗い出してくれる担当者は信頼できます。
そして、そのリスクを回避するために、最適な警備員の人数、配置場所、具体的な誘導方法などを論理的に提案してくれる会社を選びましょう。過去の類似現場での経験やノウハウに基づいた提案ができる会社は、安心して業務を任せることができます。
6.5 警備会社選びのチェックリスト
これまでのポイントを一覧表にまとめました。複数の警備会社を比較検討する際に、ぜひご活用ください。
警備料金の安さだけで選んでしまうと、結果的に警備の質が低く、現場の安全が脅かされる事態になりかねません。ここで挙げたポイントを総合的に判断し、信頼できるパートナーとして長く付き合える警備会社を選定することが、安全で円滑な現場運営の鍵となります。
7. まとめ
良い交通誘導警備員は、清潔な服装と明確な合図で現場の安全を守ります。一方で質の悪い警備員も存在し、その背景には警備会社の教育体制が関係しています。本記事で解説した見分け方を理解し、安全確保や業者選びに役立てましょう。


コメント