【コラム】警備員になって気づいた“大人の現実”
- sinsirokeibi
- 5月24日
- 読了時間: 5分

子どもの頃には分からなかったこと
子どもの頃、「大人はすごい」と思っていました。
毎日仕事へ行き、家族を養い、社会を回している。スーツを着て歩く人たちは、自信に満ちて見えました。
大人になれば自然と立派になり、人生も安定する。多くの人が、どこかでそう信じていたのではないでしょうか。
しかし実際に社会へ出て、警備員という仕事を経験すると、子どもの頃には見えなかった“現実”が少しずつ見えてきます。
警備の仕事は、華やかではありません。
真夏の炎天下。真冬の深夜。立ちっぱなしの現場。誰にも気づかれない仕事。
ですが、だからこそ見えるものがあります。
今回は、警備員という仕事を通して感じた「大人になって気づくこと」について書いてみたいと思います。
大人は、思ったより余裕がない
警備の仕事をしていると、いろいろな人を見ます。
朝早くから出勤する会社員。疲れた顔で帰る人。スマホを見ながら急ぐ若者。ため息をつきながら歩く中年男性。
子どもの頃は、大人はみんな余裕があると思っていました。
しかし現実は違います。
多くの人が、ギリギリのところで毎日を回しています。
住宅ローン。子どもの教育費。親の介護。将来への不安。物価高。
表面上は普通に見えても、誰もが何かを抱えています。
警備員は“立っているだけ”と思われがちですが、実は人の表情をよく見ています。
だからこそ、「この人、かなり疲れているな」と感じることがあります。
大人とは、余裕のある存在ではなく、“責任を背負っている人”なのかもしれません。
「好きな仕事をしている人」は意外と少ない
子どもの頃、「大人は自分で仕事を選べる」と思っていました。
好きな仕事をして、好きなように生きて、自由に暮らしている。
そんなイメージがありました。
しかし現実には、「生活のために働く人」がほとんどです。
警備員の世界にも、さまざまな事情を持った人がいます。
会社を早期退職した人。病気で前職を辞めた人。家族を支えるために働く人。年金だけでは足りない高齢者。
夢を追い続けられる人ばかりではありません。
それでも皆、朝になると現場へ向かいます。
文句を言いながらでも、働く。
そこに“大人の現実”があります。
ですが同時に、私はそれを「弱さ」だとは思いません。
むしろ、生活を守るために働き続ける姿は、静かな強さだと感じます。
世の中は「誰かの我慢」で回っている
警備員の仕事をしていると、世の中の裏側が少し見えてきます。
イベント会場。工事現場。商業施設。夜間警備。
多くの人が寝ている時間にも、働いている人がいます。
寒い中、交通整理をしている人。雨の日に誘導を続ける人。誰にも感謝されなくても現場を守る人。
子どもの頃は、街は自然に動いていると思っていました。
しかし実際には違います。
誰かが立っているから、安全が保たれている。誰かが我慢しているから、社会が回っている。
警備の仕事をすると、その現実を強く感じます。
目立たない仕事ほど、社会には必要だったりするのです。
「ありがとう」の重み
警備員の仕事は、正直に言えば感謝されることが多い仕事ではありません。
時には無視されることもあります。怒鳴られることもあります。
それでも、ごくたまに言われる「ありがとう」が妙に心に残ります。
工事現場で、「暑い中ご苦労さまです」
商業施設で、「助かりました」
たったそれだけで、不思議と疲れが少し軽くなります。
若い頃は、お金や肩書きばかり気にしていました。
しかし年齢を重ねると、人は意外と“認められること”で救われるのだと分かります。
人間は、誰かに必要とされたい生き物なのかもしれません。
年齢を重ねるほど、人生は簡単ではない
若い頃は、「努力すれば何とかなる」と思っていました。
もちろん努力は大切です。
ですが現実には、努力だけではどうにもならないこともあります。
病気。不景気。家庭の事情。年齢。
警備員の仕事には、人生の途中で方向転換した人が多くいます。
だからこそ感じます。
人生は一本道ではない。
順調そうに見える人も、どこかで苦労しています。
逆に、遠回りした人ほど、人に優しかったりします。
子どもの頃は、「成功した人=すごい人」だと思っていました。
でも今は少し違います。
失敗しても働き続ける人。文句を言わず現場に来る人。誰にも見えない場所で責任を果たす人。
そういう人たちも、本当にすごいと思うのです。
大人とは、「不安を抱えながら働く人」
警備員をしていると、時々考えます。
結局、大人って何なのだろうと。
昔は、「大人=完成された人」だと思っていました。
でも実際には違いました。
将来が不安でも働く。疲れていても笑う。悩みながら家族を支える。
多くの大人は、“正解が分からないまま”生きています。
それでも朝になると仕事へ向かう。
その姿は、子どもの頃に想像していた「かっこいい大人」とは違うかもしれません。
ですが私は今、その姿の方がずっと現実的で、ずっと人間らしいと思っています。
最後に
警備員の仕事は、決して派手ではありません。
むしろ地味で、目立たず、誰にも気づかれないことの方が多い仕事です。
ですが、その仕事を通して私は、「大人の本当の姿」を少し知った気がします。
世の中は、特別な人だけで動いているわけではありません。
毎日を何とか乗り切ろうとしている普通の人たち。疲れながらも働いている人たち。
そういう無数の大人たちによって支えられています。
子どもの頃は見えなかったものが、大人になると少しずつ見えてくる。
そして気づきます。
大人とは、“強い人”ではなく、“不安を抱えながらも前に進む人”なのだと。



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